鉄道経営物語 第9話 運転開始…の前に  作:ヨワモノ

 股田は、ついに念願の『運転士』の称号を得ることができた。
 もちろん、これで満足するわけもない。
 そう、次期社長を狙っているのである。
 しかし、既に、社長でも良いと言われている(地域住民の要望なども良く聞くため)
 
 そして、運転するため、運転所へ向かうと、事件が起こっていた。
 そう、運行予定の列車がなかったので・・・ではなく、台風接近による運行休止である。
 基本的に、台風などが来ていても、安全であれば運行できる。
 しかし、安全と確認できていないのである。
 社長は、ホームページの更新で忙しそうにしている。
 車両部も、各地に設置している風速計等の確認をしている。なかなか、運行できそうにない。
 ここで、股田の携帯に、妻から電話が来た。

股田「もしもし。どうしたんだ。」
股田の妻「どうしたじゃないわよ。東淀川区、強風が吹きつけて、雨も強くて、家から出れないわ。」
股田「今、担当の人が、情報収集に走っていて、待っているところなんだ。」
股田の妻「でね、買い物に行けないかもしれないから、帰る時に、スーパーに行って、買ってきてくれない?メモはメールで渡すから。」
股田「そんな時間、あるかな?」
股田の妻「忙しいみたいだけど、元気で帰ってきてね。じゃあね。」

 股田は、東淀川区の実情を知った。そして、今いる新大阪駅の窓から見てみて、驚いた。
 窓ガラスが割れそうなぐらい強い雨が降っている。
 股田の家は、二重窓のため、音は大丈夫だ。しかし、駅の窓は一重窓のため、音も大きくなってしまう。
 股田は、常に更新される新情報をじっと見ていた。すると、携帯のニュースが更新された。気象情報についてだ。
 股田は、無料で気象情報が受信できるソフトを導入しているのである。ニュースによると、台風が新大阪駅を直撃するルートで移動することがわかった。
 駅構内のテレビには、JRの情報だが、その横に気象情報のチャンネルを欠けている。
 そして、そのまま待っていると、大阪市から指示を受けた。その内容が、駅からの外出禁止だ。
 駅からの外出禁止を食らい、股田は完全に身動きが取れなくなった。しかも、駅には、始発列車に乗る予定の乗客が500人ほど(一編成当たり)いるという。
 股田は電話で連絡した。

股田「あ、妻、実はさ、駅から外出停止を食らったんだ。だから、多分スーパーにすら寄れないと思う。」
股田の妻「そうなの。じゃあ、食事はどうするの?」
股田「それは、政府が安全に非常食を届けるらしい。しかもココは駅だから、売店もあるし。でも、人がすごくいるしなあ。」
股田の妻「あ、そう。一応食材はあるけど……じゃあ、明日までは少なくとも帰ってこれないのね。」
股田「ああ、そういうことになるかな。あ、ちょっと、社員は行かないといけないし、きるね。」

 電話を終えた股田は、社員収集場所に向かい、非常用品を出したりする仕事を手伝った。
 そして、車が来たと思えば、政府の支援物資の届けだった。炊き出しの機械も非常用品の倉庫にしまわれ、保存の利くアルファ化米も置いている。
 また、水を入れるだけでふっくら量が増えるアルファ化米の炊き込みご飯がたくさん(ざっと見て100kgは超える)届いた。 


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