悪魔の手先 NO.4  作:キョン

悪魔の手先 NO.4

俺たちはさらに迷っていた。

無理もないか、暗闇の中を手探りで歩いてきたんだもんな。

「なんかさらに危険なところに来てる気がすんだけど…」

少し声を震わせながら出本が言った。

確かにさっきまでいた所はまだ周りが陸だったが、今ここは周りが崖になっていて、とても歩ける所じゃない。

「ハァー」俺はため息を漏らした。

横では門戸が水岡の胸ぐらを掴んでむ揺さぶり、ガミガミと文句を言いながら怒っていた。

「テメェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!このまま見つかんなかったらどうしてくれんだぁ? アァン!?」

「うぇっ、うぇっ」

「ヤクザだ、ヤクザがいる」

出本は率直な感想を言い放ち、ものすごい速度で門戸に石を投げつけられた。

ガツン「痛っ!」石は出本の頭にクリーンヒットした。

出本は若干フラフラしていた。

「おい平気か?」

俺は出本に聞いた。

「OK牧場」

「うん、全然OKじゃないね。とりあえず座れよ」

「了解」

毒を食わされたフラフラ男は地面に座った。

しかし、あたったところを見ても何もない。痣どころか切り傷すらない。腫れてもいないし

「不思議だな、あんだけスピードの乗った石をぶつけられても血も出ないし痣もできないなんて…」

毒フラ男はこちらを向いて、

「あぁ、なんか数年前のある日からヒドい怪我をしなくなったんだよ」

「ある日?」

俺は首をかしげて聞き返した。

「なんだよその日何があったんだ?」

毒フラは目をつぶり眉間に人差し指をトントンと当ててそのころのことを思い出すようにこう言った。

「あの日俺は――――って言うのめんどいから回想見てくれ、はい、ホワンホワンホワワワワァァァァ〜〜〜ン」

「そういうのやめろ!!!!!!」

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ザザァーーーーーー……………

その日の嵐は凄かった。ゴロゴロと雷も鳴っていた。

「ギャァァァァハッハッッハッハッハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

俺は肘をつき寝転がりながらTVを見ていた。番組は【世界の面白植物大集合!!】である。

以上に巨大な植物や逆に小さい植物、たくさんの花が付いている植物など、特殊な育て方などでできた面白い植物を紹介する番組である。

この番組は自然が大好きな俺がみる数少ない番組の中の一つである。

ちなみにいま笑っていたのは横から見ると人の変顔に見えるというひまわりである。

「ヒィーヒィーあぁ〜笑った」

俺は笑いすぎて出てきた涙をぬぐいながらそう言った。

「あぁ、そうだな」

そう答えたのは俺の親友の大川である。

こいつとは幼稚園からの付き合いで、思えば今までずっと同じクラスだったり、なぜかつきあいが深い奴である。

ケンカなどもしたことはないし、本当に仲のいいやつだと自他ともに認めていた。

そんな奴だから両親も良く知っているから、夜遅くまで家にいても何の問題もない…と言うのは嘘かもしれないが、まぁ平気だった。

なので、こんな夜遅くの番組を見ても両親は怒るどころか、来客用の布団をだしてきて、近くのスーパーに明日の朝食を一人分買いに行く始末だ。

そんなこんなでこの日は家に泊まることになった。

その日の夜―――――――――――

「なぁなぁさっきのあれ何が一番良かった?」

大川は布団の中で寝転がりながら聞いてきた。

「う〜ん、あの花が小さいアジサイかなぁ」

俺はそう答えた。

「えぇ〜あれぇ?」

大川は唇を尖らせてそう言った。

「じゃあお前はなんなんだよ?」

俺は少しムっとして聞き返した。

「俺か?俺は……コスモスかなぁ」

コスモスとは特に何の変哲もないコスモスなのだが、実は天井から生えているというやつである。

下から太陽光と同じ光を当てて育てたらしい。

「まぁそれも良かったな」

俺はそう言った。

大川はふふっと笑って、

「いやそう言うのじゃなくてさ、コスモスって俺の母さんが好きだった花だからさ…」

そうこいつの母親は病気で亡くなっているのだ。肺がんだった。

「…暗っ!!何でそんなに暗くすんだよ!! もっと明るくいこうぜ、明るく。お前の母さんだってそう望んでるさ、な?」

「……あぁ、そうだな」

大川は笑った。だが長い付き合いだ、作り笑いなことくらいすぐわかる。

それでもわざわざここでそんな事を追求したりしない。そんな事をしたら昔のことを思い出すのは見え見えだ。

「そうだそうだ」

それで終わらすのがお互い一番いい。

「なぁ、ところで今夜さ、家抜け出して特別なところ行こうぜ!!」

俺はこの重い空気を吹き飛ばすためにこれを提案した。

「特別なところ?」

大川は首をかしげた。

「あぁ、秘密の花畑だよ」

俺はそれの場所を説明し始めた。その場所は家の裏にあるお墓を横切っていくと奥にある。

近所の人もあまり近づきたがらないから知られていないが、いろいろな花が咲き乱れている所だ。

「な、行ってみようよ」

「でも…この天気だぜ?」

大川は窓を親指で指差して言った。

「だからこそ怪しまれないから行くんだよ!!」

俺はガバッと上半身を起き上げて言った。そして大川の肩をつかみグルングルン振った。

「おぉう、おぉう」

こんな声をあげていたが構わず、

「OKか?OKなのか?」と問いただした。

「うぁ…ま、まぁいんじゃない?」

くるくる目を回していたが、こう答えた。

「マジかマジでか?」

俺は顔を近づけて目を輝かせながら言った。

「あ、あぁ…ちょっ顔が近い」

大川は顔を押しのけながら言った。

「よし、じゃ着替えようぜ」

俺は布団を投げ飛ばしベッドから飛び起きた。

「う、うん」

大川は少し困ったような顔をしていたが、内心ワクワクしているようだった。

これがあんなことにつながるなんて、まだ思ってもいなかった…。

<悪魔の手先 NO.4完>

=作者より=

いらんって声もいるって声も聞かないから続けます。

前作よりも時間が空いてしまいました。

いろいろあったんです、いろいろ(ロ○リオと○ンパイア○APU2の瑠○さん風に。わからない人はスルーしてください)

ちなみに最後のほうシリアスに終わってますけど、シリアス路線じゃないですよ。

一応言っとかないとがっかりするでしょ?

「おいおいシリアスじゃねぇのかよ」

みたいなね? ご本人登場で森○一が出てくるのかと思ったらモノマネしたコ○ッケが出てきたみたいなね。

そんな空気はヤだから言っときます。シリアスじゃありません。以上!!


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