不老不死  作:アイルー

私は不老不死の肉体を手に入れた

・・・だけど、いい事なんて一つ
もなかった。良かったのは最初だ
けだった。
みんなに自慢した。
「私は不老不死だ」と。
だけど・・・得られたのはほんの
一時的な「すごい」という眼差し
だけだった。
得られるものより失ったものの方
が多かったのだ。

まず、生きようと努力する事を忘
れてしまった。

そして、この世界に飽きてしまっ
た。たとえいくらゲームがあった
って、どんなにやることがあたっ
て、永遠に生き続けるのだ。
いつかはする事など無くなる。

もちろん、友達など一人もいない

皆老いていく中で一人同じ若さ、
同じ年齢、同じ顔・・・。
気持ちが悪いと言われ、
皆遠くへと行ってしまう・・・。

どんなに痛くても
どんなに苦しくても
どんなに死にそうでも
私の体は死を選ばない。
いや、死を許されない。
いっそ死ぬことが出来れば。
いっそ消えてしまえれば。
しかしそれは出来ないのだ。
私が望んだことなのだから。

何度もビルから飛び降りた。
でもいつも助かってしまう。
痛みや辛さだけが増えていく。

穴を掘って中にも入った。
だけど、これも途中で誰かに見つ
かる。

首吊りもやってみた。でも途中で
必ず誰かに見つかってしまう。
「考え直せ」と言われる。
何を考え直せと言うのか。
それが私には解らなかった。

不老不死なんて望まなければ良か
った。

死ねない

それは、この世のアカを取り除け
ないということ。
人は心を一生に一度、洗濯しなけ
ればいけない。
その「洗濯」が死ということだ。

私の心は壊れてしまった。
私は気がつかなかった。
不老不死を望んだとき・・・。
自分の心が壊れかけてたことに。
私の心は壊れ、跡形もなくなって
しまった。
だけど、間違った選択をした後に
なってようやく心が戻ってきた。
ボロボロの、垢まみれの、汚い、
汚い、汚い心が。

どうしてあんなに軽い気持ちで、
「不老不死」なんて望んだんだろ
う。
なぜ・・・私は深く考えなかった
んだろう。
なぜ・・・?
なぜ・・・?
後悔の涙が、私の頬をすうっと流
れた。


コメント

3点 ラード 2010/11/18 15:25
とても考えられる詩だと思います


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