私の時計  作:光




  ねぇ、君は今どこにいるの?



  私はずっとココで君の帰りを待ってるよ。


  小さい頃、君と約束を交わしたこの場所で…。


  遊んだり、泣いたり、怒ったり、笑ったり…。


  君の1つ1つの表情が今でもこの目と胸に焼き付いて、私の心がほんのり暖かくなる。


  もう1度、君の笑顔が見たいから、君と笑いあいたいから・・・、ココでずっと待ってるよ。


  優しい君、優しい笑顔、もう1度私にみせて?


  よく私が転んだ時、泣いてる私に手を差し伸べて


  『大丈夫?』


って、言ってくれたよね。


  君の暖かい手にもう1度触れたいよ。


  あれからもう10数年。私は高校2年生。


  周りの子は青春という時計を身につけて、針がぐるぐる、ぐるぐる回ってる。


  私の時計はさび付いて、もうずっと止まってる。


  そう、君と離れ離れになったあの日から…。


  寂しいよ。会いたいよ。大好きだよ…。
 
   
  沢山の感情が溢れ出して、私の目に涙が流れ落ちた。


  「大丈夫?」


  驚いて目の前を見てみると、そこにいたのは…。


  大人びた君。


  けれどあの優しい笑顔は変わらない。


  ずっと、ずっと触れたかったあの暖かい手が、目の前にある。


  握ってみると、やっぱり暖かい。何も変わってない。


  1つだけ変わったのは、同じ大きさだった君の手が、私の手より一回り大きくなってる事ぐらいかな。


  ねぇ、あの約束、覚えてる?


  別れる時に君が私に言ってくれたあの言葉。


  『僕が大きくなったら、必ず君を迎えに行くよ。そしたら、ずっとずっと一緒にいよう。』


  嬉しかった。私の気持ちは変わらない。君の手をもう離したくない。


  また会えて嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて…。


  私のさびついた時計に1粒の涙がこぼれ落ちた。


  そしてまた、私の時計が動きだした。


  




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