席替え  作:梅の本

席替え
一年を通して(教師にもよるが)数回しか無い「どきっ! あの子の隣を狙おうぜ」なイベントなのである。
一番前、教壇の目の前に位置する恐怖の席に座っているのは自分だ。
この二ヶ月。つらかった……何故なら
後ろにはリフォームの達人が居るんだよッ!
教室のありとあらゆる物を破壊……リフォームする程度の行動を持っている彼は、よく教師に注意されていた。
やがて親が学校にやってきて、何ざまスカ! 家の子がそんな野蛮な事を!? あり得ませんわよ!?
などと言い一通り言い終えると帰っていく。親があれでは子があれだ。
彼は今日も元気に黒板前にあった机を弾き跳ばし、ゆとりのある空間を作り出していた。
朝の20分の間にリフォームを終えるのだから大した腕である。
一通りのリフォームを終えた彼は満足した顔で教室から出ていく。台風は去った。
机につっぷしながら耐えきった自分は、やってきた先生と一緒にリフォームされた黒板前を再リフォームした。
あー、クジ引けー。そこー、静かにー。
繰り返されるリフォームにげっそりして、やる気なさそうに担任が席を決める紙切れを配り始めた。自分の引いた番号は5。
さあっ。席は何処になった?


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