前日の無人島  作:梅の本

「おーい、リョーウ!」
 遠くで俺の名前を呼ぶ声がする。
 場所は校門前。明日から三連休に突入して、早く帰りたい気分。
「どうした! 我が親友!」
 慌てて走ってくる親友を見ながら休日は何してのんびりしよう。と考えていた。
「お、お前、明日、空いてるよなっ」
「どれだけ急いだのだろう。親友から流れ出る汗の量は多摩川並み」
 謎の例えを出しつつ親友の息が元に戻るまで待った。
…………。
「何で多摩川だよ、分かりにくいよ。で、何だっけ?」
 俺が聞きたい
「思い出した。お前さ、サバイバリティな事。やりたくないか」
 こいつの家は金持ちなのでたいがい何とかなる。だが、今回の事は本気で意味が分からなかった。
 は? サバイバル? なぁに言ってんのさアンタ!
 そんな混乱している俺を無視して勝手に話を続ける親友。
「二泊三日で無人島な所でサバイバル。どうだ、面白そうだろ?」
 サバイバル。
 何がしたくてこんな思いつきをしたのかは分からないが。
 まぁ、何もない日常を抜け出すにはちょうど良いか。
 分かった。その話、乗るぞ。
「あ、言っとくけど荷物は持ってけないから」
 当たり前だ。


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