見えない壁をノックして  作:夕楊


風邪、引いた。
でも辛くない。
体調も悪くないはずなのに、体の一部分だけが不調。
心配と共に来たのは、
「また今度」
という4文字。
約束を曖昧にしたのは自分なのに、もどかしさは何なのだろう?


送ったメールが頭から離れない。
不安が責め立てる。
自分が嫌なヤツに思えてくる。
何度も、
「相手はそんな人じゃない」
心に言い聞かせる。
分かってる、信じてる。
落ち着くのは一瞬だけ。
返事がないから不安なんじゃない。
自分が嫌なヤツに思われるのが嫌なんじゃない。

──何が嫌なの?
自分に問いかける。

何で風邪なんか引いたんだろう……

そう呟いた時に気付いた。
「会いたい」
って思ったんだって。
この事に気付くまでに自分は嫌なヤツにもなるし、不安に責められもした。
だけどさ、今度は

それでも会いたい

って伝えてもいいですか──?





End.


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